結城昌治「ゴメスの名はゴメス」(光文社文庫) 1962年ベトナム首都で起きたスパイ事件。同時代の緊迫はノンフィクションのほうが優れていた。

「失踪した前任者・香取の行方を捜すために、内戦下のサイゴンに赴任した坂本の周囲に起きる不可解な事件。自分を尾行していた男が「ゴメスの名は・・・」という言葉を残して殺されたとき、坂本は、熾烈なスパイ戦の火中に投げ出された。香取の安否は? そしてゴメスの正体は? 「不安な時代」を象徴するものとして、スパイ…