グレアム・グリーン「おとなしいアメリカ人」(早川書房) 1950年代前半、覇権国から没落したイギリスからみると新しい覇権国アメリカの言動はナイーブなのに厄介ごとばかり起こす青二才。

「ヴェトナム戦争直前のサイゴンで一人のアメリカ人青年が無惨な水死体となって発見された。引退間際のイギリス人記者ファウラーは青年と美しい地元娘を争っていたものの、アジアを救うという理想に燃えていた純真なライバルの死に心を痛める。しかし、ファウラーには警察の捜査に協力できない秘密があった―無邪気なアメリ…