夏目漱石「文学評論 1」(講談社学術文庫) 18世紀イギリスで文学者は政治の世界から排除され、簡潔な英語で書くようにして、本の出版で食べていけるようになった。

1909年に発刊された講義録。著者の序文には、研究がいたらないがとりあえずまとめたという釈明が書かれていて、いつどこの講義であるのかわからない。著者はしきりに謙遜するが、開国後40年目のこの国で18世紀の英文学を鳥瞰しようというのがどれほど困難で無謀なことかよくわかる。小泉八雲他数名の英文学教授はいても関…