フーケー「水妖記」(岩波文庫) ドイツの中世の民間伝承とゴシックロマンスのないまぜになった悲恋劇。同時代には受け入れられず、時を超えてフランス象徴主義詩人たちが再発見。

中世ドイツの湖に面した岬に住む老夫婦。15年ほど前に洪水にあって、幼い娘を亡くした。その数日後、美しい女の子が彼らの前に現れる。夫婦は彼女を自分の娘として育てる。周りに人のいないためか、彼女はきわめて自由奔放、天真爛漫、無邪気でいたずら好きになり、しかも夫婦にはわからないなにか超自然の力を持ってい…