スーザン・ソンタグ「隠喩としての病」(みすず書房) 近代は病気を患者への懲罰とみなし、患者を排除しようとしてきた。

著者は1933年生まれで、1970年代前半にがん治療を行った。その体験から書いたものがこの本。たぶん相当に急いで書かれたものであり、同じ思考の繰り返し、同じ引用の再掲などが頻出する。その意味では整理は不十分であり、とりとめのないものではあるが、この息せき切った切実感はこの文章でないと理解できない。 1.結核…