イタロ・カルヴィーノ「マルコヴァルドさんの四季」(岩波少年文庫) 読者の隣人であるマルコヴァルドさんの運の悪さに憐憫を感じながら、笑いのあとに背筋の寒くなる思いをする。

マルコヴァルドさんは都会に住む人夫(倉庫勤務の工員だ)。奥さんと4人の子供が狭苦しい家に住んでいる。彼が得意なのは街中に自然の息吹を見つけることだが、それに感心するひとはいない。自分や他人のために良かれと思って行ったことは、たいてい失敗するか思惑通りにはならない。それでもけなげなマルコヴァルドさん。…