柳広司「トーキョー・プリズン」(角川文庫) 占領期日本をみるには被害者/加害者の関係がややこしいインサイダーより、国の歴史に無知なアウトサイダーのほうがよい。

1946年の東京巣鴨。ニュージーランドの私立探偵が大戦中に日本近海で行方不明になった爆撃機乗りの行方を調査したいと収容所にやってきた。所長のアメリカ人大佐は、自由な行き来を承認するかわりに、収監されているBC級戦犯容疑者の記憶を取り戻せと要求する。まず、この出だしでぞくぞくした。敗戦後占領期に外国人が訪…