山田正紀「神狩り」(角川文庫) 挫折を知らない独我論はナルシズムとヒロイズムを膨れ上がさせる危険な罠。そこから陰謀論や差別主義まではあと一歩。

ほぼ30年ぶりの再読で、(経験はしなかったが実感できる)1970年代初頭の末期全共闘運動のざらついた挫折の雰囲気を思い出した。いっぽうで、20代半ばの読書ではあれほど若者の「自分の物語」と思っていたのが、老年にいたると若者の「自分勝手な物語」に読めることに、落胆とも諦念ともいえる苦い気持ちになる。 弥生時代…