筒井康隆「夢の木坂分岐点」(新潮文庫)

この作家の小説では、たいてい主題が作中で説明されていて、ここでは章「5」で語り手が行う講演に他ならない。現実と虚構と夢には差異がなくて等価。どれが地でどれが図なのかということこだわることは不要。であれば、積極的に現実と虚構と夢の境を取っ払って、浮遊の状態を「生き」ましょう。それぞれの場所における役…