フョードル・ドストエフスキー「百歳の老婆」(米川正夫訳)

百歳の老婆 その朝、わたしは大へん遅くなりました。――この間ある婦人がわたしにこんな話をした。――で、家を出たのは、もうかれこれ午ごろでした。しかも、その時にかぎって、まるでわざと狙ったように、用事がたくさんたまっていました。ちょうどニコラエフスカヤ通りで、ふたところ寄らねばならないところがありました。…