H・G・ウェルズ「タイム・マシン」(角川文庫) 家族・労働・国家を止揚した社会は必然的に退廃する。ウェルズの社会主義批判とペシミズムが込められたSF。

ウェルズの中編と短編。どれもSFのサブジャンルの始祖であって、SFでやれることの多くはウェルズがやってしまったという感じがする。そのうえ、人類や地球の未来に対する無力感となにもすることがないという諦めが漂う。読後、余韻は深いが、気分はすっきりしない。 タイムマシン 1895(1924改稿) ・・・ 無名氏のタイム…