カート・キャノン「酔いどれ探偵街を行く」(ハヤカワ文庫) アル中とルンペンは警察の庇護を受けられないかわりに、社会の義務やルールの外にいる。西部劇なら英雄になれるものが、現代ではアンチヒーローのスティグマを押される。

カート・キャノンはニューヨーク・バウアリの街の私立探偵。トニと結婚して数か月目。トニがベッドの中でパーカーと一緒にいるのを見つけた。以来、カートは探偵の免許を取り上げられ、アルコール漬けになる。一日中飲んだくれている30歳の男にも、探偵を頼む連中はいる。警察は彼らの訴えを聞いてくれないから。そこでカ…