ハリイ・ケメルマン「金曜日ラビは寝坊した」(ハヤカワ文庫) ユダヤ社会をケーススタディにした正義や倫理の問題のほうが興味深い

金曜日の朝、ラビは寝坊した。起きたときには、ラビの車のそばで絞殺された女性の死体が発見されていた。彼女の持ち物であるハンドバックがラビの車の中に見つかった(ということは、ラビに限らずボストンからほど近い小さな町の住民は車に鍵をかける習慣がなかったとみえる)。事件の奇妙なのは、この女性、イタリア人の…