井上浩一「生き残った帝国ビザンチン」(講談社現代新書) ビザンチンに残されたローマ帝国の遺風とその後の革新を遅れたヨーロッパが模倣する。

ヨーロッパ史を読むと、西ローマ帝国の滅亡からあと十字軍まではあまり関心を持てない時代。古代帝国が消えた後に、部族社会に後戻りした感があるから。一方、コンスタンティノープルに遷都した東ローマ帝国はというと、ほとんど記述されないで15世紀初頭の滅亡を知ることになる。そこで、教科書の記述では東ローマ帝国と…