岡倉覚三「茶の本」(岩波文庫) 茶道(や日本の精神)を説明するのに欧米の思想やことばを使わなければならないのが物悲しい。

著者が1906年に英語で書いた。没後の1929年に村岡博が翻訳して岩波文庫に入り今に至る。勝手に背景を考えれば、日露戦争の「勝利」によって欧米で日本への注目が集まった。軍事的には注目されるが、経済と文化ではほぼ存在感のない国の文化を紹介する目的があったとみえる。またこのころは黄禍論の時代でもあってアジア人…