odd_hatchの読書ノート
id:odd_hatch
黒岩涙香「紳士のゆくえ」明治24年(別冊幻影城「黒岩涙香集」から全文採録)
紳士のゆくえ 黒岩涙香 一 不思議、不思議、煙の如く消え失せて更にゆくえの知れざる一紳士あり。 甲「何処へ行った」 乙「夫が分らぬから不思議じゃないか」 甲「何処で居なくなった」 乙「夫も分らぬ」 甲「ではまるで消えて仕舞った様な者だネ」 乙「爾々(そうそう)、まるで消え失せて仕舞ったのだ」 甲「其の消える…