ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」(新潮文庫) 運命の操り人形だったマクベスは魔女の予言にうらをかかれ、「女から生まれた人間」ではないマクダフを前にしたとき、一気に主体が覚醒する

ご他聞にもれず、20代の初読時は、反乱を最後まで遂行できないマクベスをふがいないと断じたのであった。魔女の予言を真に受けて、夫人の使嗾にのっかっただけの機会主義者はその程度の覚悟か、と。「マクベス」を翻案した黒澤明の映画「蜘蛛巣城」にもさほど感心しなかったのがあって、ヴェルディの歌劇「マクベス」も「…