菊池良生「神聖ローマ帝国」(講談社現代新書) ヨーロッパを神権体制にする〈ローマ帝国〉は挫折したが、資本主義による世界システムがのちに世界を制覇した。

よくわかったのは、ヨーロッパはローマ帝国の遺風や遺産を強く意識していて、その後継者であることを誇りにしていること。たとえば皇帝はローマ帝国の制度において成り立つとされるから権威と権力をもてるのだ。しかも勝手に名乗ってはならず公的な手続きを経ないとならない。なので中世の諸侯は「皇帝」を名乗るべく権謀…