神野志隆光「古事記と日本書紀」(講談社現代新書) 明治政府の天皇崇拝、男性優位社会、朝鮮の属国化などの皇国イデオロギーは記紀神話にまでさかのぼる。

古事記(712年)と日本書紀(720年)はどのように読まれてきたか。これらの神話は、律令体制国家を統治する天皇の正統性を明らかにするものだ。中国の陰陽説や天下の概念を採用しながら、「日本(朝廷自身が命名)」が大国であり朝鮮を属国とする帝国的世界・律令国家であることを根拠つけるものである。 しかし子細に読む…