「秋の祈」高村光太郎 1914

秋は喨喨(りょうりょう)と空に鳴り/空は水色、鳥が飛び/魂いななき/清浄の水こころに流れ/こころ眼をあけ/童子となる 多端紛雑の過去は眼の前に横はり/血脈をわれに送る/秋の日を浴びてわれは静かにありとある此(これ)を見る/地中の営みをみづから祝福し/わが一生の道程を胸せまつて思ひながめ/奮然としてい…