独歩の『置土産』を読む

国木田独歩(1871-1907)の『置土産』(1900)は、名作『武蔵野』で「社会というものの縮図」を見ることができると指摘された「郊外」を舞台にした短編小説である。 舞台は小さな田舎町の町はずれにある茶店だ。三角餅という名物を売って繁盛している茶店の主人幸衛門は、塩への投資に熱心で店の利益をつぎ込んでしまう。…