『通話』ロベルト・ボラーニョ

ようやく眠りに落ちると、一人の雪男が砂漠を歩いている夢を見る。雪男は挫折すれすれの道を、おそらく挫折に向かって歩いている。だが、雪男はその事態に目をつぶることを選び、その抜け目のなさが彼の意思に変わっている。 ――ロベルト・ボラーニョ『通話』 語らない不穏 今年の春に南米を旅したときは、チリは周辺諸国に…