『アルグン川の右岸』遅子建| 消えゆく一族の挽歌

私はすでにあまりに多くの死の物語を語ってきた。これは仕方のないことだ。誰であれみな死ぬのだから。人は生まれるときにはあまり差がないが、死ぬときは一人ひとりの旅立ち方がある。 ――遅子建『アルグン川の右岸』 消えゆく一族の挽歌 人生は、死というゆるぎない結論へ向かう一方通行の線であり、それぞれの出発点から…