『グールド魚類画帖』リチャード・フラナガン|流刑地で花開く狂気の夢

膿んだ腫れ物に口づけした。潰瘍だらけの、膿がたまって腐りかけたくぼみだらけのやせ細ったすねを洗った。おれはその膿であり霊であり神であり、自分自身にすら解釈できず知ることができない存在だった。そのためにどれほど自分を憎んだことか。おれが愛した、おれでもある世界を、どれほど試してみたかったことか。 ーー…