伊勢物語 第七十七段

七十七 昔のこと。 田村の帝とひとびとがお呼びする帝がいらっしゃいました。その時の女御に多加幾子(たかきこ)とお呼びする方がいらしたのです。その方がお亡くなりになり、安祥寺でご法要を行ったのだそうです。ひとびとがお供物を捧げました。そのお供物が千ほどもありました。このたくさんのお供物を木の枝につけて…