通り過ぎた山、あとになって知る縁——岩切権現との静かなつながり

あとになって思い返すと、不思議なほど記憶に残っている風景というものがある。 毎日通っていた通勤路の並木道、何度も信号待ちをした交差点の角にあった大きな木、あるいは車の窓越しに何気なく目にしていた山の稜線。そのときはただの背景にすぎなかったのに、なぜかずっと記憶に焼きついていて、ふとしたときに脳裏に浮…