春は曙。 やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明りて…

一条天皇の后、定子さまに仕えていた女房、清少納言は宿直(とのい)の朝を迎え皇后宮常御殿(こうごうぐうつねごてん)から東山の方角をじっと眺めていたのだろう。「春はあけぼの!」とは歯切れがよい。何につけ歯切れのよさが、清少納言の見事なところ。少しづつ東山は白んでゆくのだ。それをじっと見つめている眼差し…