『望月のあと (覚書源氏物語『若菜』) 』 森谷明子

平安王朝推理絵巻その三である。今作は源氏物語で唯一上下巻に分かれている「若菜」の帖を題材にしている。 都では盗賊や放火が相次ぎ、さらに帝の譲位が取りざたされる中で、紫式部は「若菜上下」を執筆中である。そんな中で訪れた屋敷で、時の権力者藤原道長が瑠璃という姫を密かに住まわせているのを知る。紫式部はこの…