月と犬

月はひっそりと夜に居る。時折どこかで、月を見ながら吠える犬の声を聞きながら。太陽が顔を出すその時までの、静かな夜も、賑やかな喧噪も、哀しい時も、楽しいひとときも、世界中から聞こえる音すべてに耳を澄ましながら夜に居る。 月と犬 雨が降る夜だけ店は開く。雰囲気の良いそのバーはカウンターだけの店で、上質な…