夜の耳に咲く  (夏模様の猫)

*1(猫の見し、夏の都)*2 我は、猫なり。名を持たず。されど、人に呼ばるるたび、名、移ろふ。 「こがね」「よひかげ」「しののめ」――いづれも、我が名にして、我が名にはあらず。 都の庭々を、気のままに歩み、日なかは影を探し、夜は、月の声に耳を澄ませて、過ごすのみ。 ―― この御邸(みやしろ)には、人の声、稀(ま…