「あなたへのダイアリー」 (第二章 きみ寿司)-9-

それが、二十七年前、亮介が牧村貴美子と過ごした青春の思い出だった。 「懐かしい……。何もかも」 亮介は、あのナイロビで受け取った貴美子からの手紙に書いてあったことが、いまだに信じられずにいた。このまま、今、遠目に見えているあの暖簾の奥の店の戸が開いて、貴美子がその姿を少しだけでも見せてくれたなら、貴美…