春におすすめ別れの小説②恋愛編「濃紺」幸田文・著

「ぜひこの一足をあなたにはいてもらいたい、そう思って仕上げた。しかし、主人が上物は扱わせてくれないので、自費の材料ゆえ粗末で恥ずかしい。かなりなくせのある木目で、今日のあれとは比べものにならない。気をわるくされやしないかと心配だが、くせがあるだけに仕事には手間はかけた、それだけが価値だ」 ( 講談社…