初頴日記故事・11 呉猛

晋の代に呉猛といへる人八歳のころより親に孝あり 家もとより貧しかりしとなり 榻(とう)とは臥床のせまきを云なり ねところの台なり 帷帳とは「かや」の類なり 貧なればさるものなし つねに夏の夜は蚊おほく集まりきたるを 呉猛これをおはず ほしいままに おのれが血をすはせて 飽きたらしむ 蚊のきたること おほけれど…