初頴日記故事・14 楊香

晋の楊香は十四歳の時 常に父の豊(ほう)といへる人とともに 田にゆきて 粟をとる時に 思ひよらず虎きたりて父をくはへたり 楊香おどろきぬれど 手に小刀をだにもたず ただ父の大切なることを思ひ わが身ある事を思はず をどりあがりて 虎のかしらにしがみつきたり 虎又靡然(びぜん)とふりはなしてさりぬ ここにおひて …