「悪」をめぐってーカントの場合

中島義道電気通信大学教授の『悪について』(岩波新書)は、悪一般について考察した書ではなく、カントの倫理学の紹介でこれまで素通りしてきた問題を掘り下げて取り上げている。あいまいな理解であったところに光があてられてありがたい。 「きみ自身の人格における、またほかのすべての人格における人間性を、常に同時に…