陽明学的心性

小島毅東京大学准教授の『近代日本の陽明学』(講談社新書メチエ)は、知的刺激に富んだ本である。陽明学的心性をキーワードとして俯瞰された近代日本思想史試論といえるだろう。王陽明の「知行合一」とは、「知に対する行の優位を強調するのではけっしてない」のであり、学ぶ者それぞれの病弊に応じた「対症薬」としての…