「洗脳」からの解放ーカンディードの場合

水林章東京外国語大学教授の『『カンディード』〈戦争〉を前にした青年』(みすず書房)は、古典的作品の読み方を各専門の学者がポイントを絞って講義する《理想の教室》シリーズの一冊である。この著者は、思想史的問題をあまりに現代に引きつけ過ぎる傾向があり、この本でもそこに引っかかるが、解読の過程は、スリリン…