あえて無力なカント平和論を読む

ドイツ文学者池内紀(おさむ)氏翻訳、カントの『永遠平和のために』(集英社)は、読みやすく面白い。氏の「解説」によれば、そもそも200年以上前のドイツ語であること、哲学者特有の言い回し、当局の検閲を配慮した意味の曖昧な文章など、翻訳には困難があったそうである。古い文体は捨て、学問的措辞および用語にこだわ…