『仏教思想のゼロポイント』(新潮社)を読む(Ⅳ)

第七章「智慧と慈悲—なぜ死ななかったのか」は、ゴータマ・ブッダは悟後に解脱の楽を独り味わうことに安住せず、なぜ衆生に対する仏教の宣布をはじめたのかについて考察している。一般に「慈悲」によって仏教の宣布をはじめたとされるが、仏教の「慈悲」は、現代日本語の「優しさ」とは全く異なる意味も含まれているのであ…