絓秀実『吉本隆明の時代』(作品社)を読む(2)

◯吉本隆明が中野重治の「村の家」経由で抽出した「大衆」イメージは、しばしば貧困な「下層」というバイアスをかけて語られるが、小林秀雄はもちろん、柳田國男や京都学派などのそれと同様、支配権力に従順な「中産階級」である。下層イメージのバイアスをかけることによって、やや革命への傾斜を持つように見なされる。(…