縁なくば 海に身投げせよと育てられた姫【源氏物語 58 第5帖 若紫2 】源氏は 明石の変わり者の入道の娘の話を聞く。

源氏は寺へ帰って仏前の勤めをしながら昼になると もう発作が起こるころであるがと不安だった。 「気をお紛《まぎ》らしになって、 病気のことをお思いにならないのが いちばんよろしゅうございますよ」 などと人が言うので、 後ろのほうの山へ出て今度は京のほうをながめた。 ずっと遠くまで霞《かす》んでいて、 山の近…