北山で美しい少女と出会う【源氏物語 60 第5帖 若紫4】「雀の子を犬君が逃しつる」源氏は 美しい少女と出会った。少女は 恋しい藤壺の宮様に似ている

「雀《すずめ》の子を犬君《いぬき》が逃がしてしまいましたの、 伏籠《ふせご》の中に置いて逃げないようにしてあったのに」 たいへん残念そうである。 そばにいた中年の女が、 「またいつもの粗相《そそう》やさんが そんなことをしてお嬢様にしかられるのですね、 困った人ですね。 雀はどちらのほうへ参りました。 だ…