禁断の狂おしい恋の虜【源氏物語69 第六帖 若紫12】逢瀬を重ね 藤壺の宮は懐妊。夢占いで夢を現実にまざまざ続き恐怖を覚える。

源氏の恋の万分の一も告げる時間のあるわけはない。 永久の夜が欲しいほどであるのに、 逢わない時よりも恨めしい別れの時が至った。 見てもまた 逢ふ夜 稀《まれ》なる夢の中《うち》に やがてまぎるるわが身ともがな 涙にむせ返って言う源氏の様子を見ると、 さすがに宮も悲しくて、 世語りに 人やつたへん 類《たぐ》ひ…