【源氏物語72 第五帖 若紫15】女王の祖母の尼君がなくなる。源氏は弔意品を送る。少納言の君は幼い女王の立場を思い泣く。

この十月に朱雀《すざく》院へ行幸があるはずだった。 その日の舞楽には 貴族の子息たち、高官、殿上役人などの中の 優秀な人が舞い人に選ばれていて、 親王方大臣をはじめとして音楽の素養の深い人は そのために新しい稽古を始めていた。 それで源氏の君も多忙であった。 北山の寺へも久しく見舞わなかったことを思って、…