祖母が亡くなり悲しむ紫の君【源氏76 第五帖 若紫19】父宮は 女王を慰めるものの、祖母が亡くなって深い悲しみに沈んでいる。源氏の代わりに 惟光が宿直をする。

「なぜそんなにお祖母様のことばかりをあなたはお思いになるの、 亡くなった人はしかたがないんですよ。 お父様がおればいいのだよ」 と宮は言っておいでになった。 日が暮れるとお帰りになるのを見て、 心細がって姫君が泣くと、宮もお泣きになって、 「なんでもそんなに悲しがってはしかたがない。 今日明日にでもお父様…