🌸若紫は不安で泣く【源氏78 第五帖 若紫21】寝ていた女王を抱き上げて連れていく。困惑する少納言であったが同行する。不安になった若紫の女王は泣く。

源氏は無心によく眠っていた姫君を抱き上げて目をさまさせた。 女王は父宮がお迎えにおいでになったのだと まだまったくさめない心では思っていた。 髪を撫《な》でて直したりして、 「さあ、いらっしゃい。宮様のお使いになって私が来たのですよ」 と言う声を聞いた時に姫君は驚いて、 恐ろしく思うふうに見えた。 「いや…