源氏と頭中将は一つの車に乗って左大臣家に🌿【源氏物語84 第六帖 末摘花4】二人の貴公子は 荒れ屋敷の琴の音を思い出す。

源氏にも頭中将にも第二の行く先は決まっていたが、 戯談《じょうだん》を言い合っていることがおもしろくて、 別れられずに一つの車に乗って、 朧月夜《おぼろづきよ》の暗くなった時分に左大臣家に来た。 前駆に声も立てさせずに、そっとはいって、 人の来ない廊の部屋で直衣《のうし》に着かえなどしてから、 素知らぬ…