源氏の子が東宮に【源氏物語 128 第九帖 葵 1】藤壺の宮と源氏の密かな子は東宮となり、院は源氏に後見を命じた。

天子が新しくお立ちになり、 時代の空気が変わってから、 源氏は何にも興味が持てなくなっていた。 官位の昇進した窮屈《きゅうくつ》さもあって、 忍び歩きももう軽々しくできないのである。 あちらにもこちらにも待って訪われぬ恋人の悩みを作らせていた。 そんな恨みの報いなのか源氏自身は中宮の御冷淡さを 歎《なげ》…