源氏は藤壺の宮から返事をもらう【源氏物語107 第七帖 紅葉賀9】西の対の若紫のところに行くと拗ねている。自身は笛を吹きながら琴を教える。

源氏は二条の院の東の対《たい》に帰って、 苦しい胸を休めてから後刻になって左大臣家へ行こうと思っていた。 前の庭の植え込みの中に何木となく、 何草となく青くなっている中に、 目だつ色を作って咲いた撫子《なでしこ》を折って、 それに添える手紙を長く王命婦《おうみょうぶ》へ書いた。 「よそへつつ 見るに心も慰…