【源氏物語120 第八帖 花宴4】「朧月夜に似るものぞなき」歌いながらくる女君との出会い。陥るべきところに陥った春の夜🌕源氏の運命は大きく動いていく。

若々しく貴女らしい声で、 「朧月夜《おぼろづきよ》に似るものぞなき」 と 歌いながらこの戸口へ出て来る人があった。 源氏はうれしくて突然|袖《そで》をとらえた。 女はこわいと思うふうで、 「気味が悪い、だれ」 と言ったが、 「何もそんなこわいものではありませんよ」 と源氏は言って、 さらに、 深き夜の 哀れを…